雑文

【3000文字チャレンジ】月曜日の言い分

※この記事は、3000文字チャレンジという企画参加用のものです。ほかの通常の記事とは全く異なり、以下、特にためにならないだらだらとした文章が延々と続きます。ご承知おきください。

 

さすがにあんまりではないか、と、度々、月曜日は月曜日に思う。

…非常に分かりにくいが、月曜日である彼は、月曜日に、そう思う。

世の中の人の、特にサラリーマンからの、声にならない、いや、ときにははっきりとした声で、怨嗟の言葉が届くからである。

そういう、世の中の不特定多数の評価やコメントは見ないが吉である、ということは分かっているが、これだけ渦巻いていればさすがに当事者の耳に届く。

なにもエゴサーチなんてをしているわけではない。ただ、月曜日、というだけで、月曜日には基本恨まれる存在である。

我々は等しく7分の1であるべきではないのか、と彼は思う。それにしては曜日間格差が激しすぎではないのか。

まあ、土曜日と日曜日は、100歩譲って致し方ない、としよう。平日と休日の差は如何ともしがたい。

世の中、平等だ公平だと言いながら、生まれながらの不公平の中でなんとか成り立っている。

人の世に存在する彼である。甘んじて、その差は受け入れよう。

しかしそれにしても、平日である5つはもっと平等であってしかるべきではないのか。

平日であるという身分でもっと、助け合い励まし合う中であってもいいのではないのか。

なぜ月曜日ばかりが、こんなにも疎まれなくてはならないのか。

彼は長年不満である。

そんな不満が積もり積もって、今日こそはと思い立ってしまった。

他のみんなはどう思っているのか。月曜日にすべての負の感情を押し付けてそれでいいと思っているのか。

彼は一つずつ、真意を確かめるつもりである。

火曜日

月曜日は火曜日の元を訪れた。

…非常に分かりにくいが、月曜日である彼は火曜日に、火曜日の元を訪れた。

「みんなさ、月曜日のこと嫌いすぎだと思うんだ」

月曜日はおもむろにきりだした。

むっつりと黙っていた火曜日はちらりと目を向ける。まだ無言。

「だからさ、月曜日だけ、嫌われすぎだと思うんだよ」

剣呑な視線をやわらげないまま、火曜日は、はぁ?っとやはり怖めの声を出す。

「だからね、」

「おまえね、何言ってんの」

「だからさ」

「被害者ヅラすんなよ」

火曜日はなんだか、怒っていた。

「月曜日はなんだかんだと話題に上るだろう。火曜日について考えたことあるか。火曜日はな、地味なんだよ。圧倒的地味感。それでいて、まだ火曜日、とか言われんだよ。
地味すぎてな、ドラマの録画予約とか忘れるのも火曜なわけ。わかる?」

わかる?といった火曜日の迫力が静かに怖すぎたので、月曜日は退散することにした。

(わかる、ような気がする・・・)

とりあえず火曜日は怒っていた。

水曜日

月曜日は水曜日の元を訪れた。

…非常に分かりにくいが、月曜日である彼は水曜日に、水曜日の元を訪れた。

「ねぇ。月曜日ってどう思う?」

「え?」

水曜日は少なくとも、怒ってはいなかった。

「月曜日だけさ、損してる気がするんだけど」

「そうかなぁ」

水曜日はなんだか思案顔だ。

「そういうの、あんまり考えたことなかったけど…水曜日って、良くも悪くも真ん中なんだよね、なんでも。日程的にももちろん真ん中なんだけどね?
僕としてはね、なんていうか〜、もっと盛り上がってこー!って、言いたいわけ。週の真ん中でさ、がんがんいこうぜー!って、言いたいんだけどね、どーも盛り上がんないんだよね〜。
なんだろね。僕もこまってるんだ」

水曜日は神妙な顔をして見せた。

(水曜日って、割と恵まれてる感あったんだけど。それでも 悩みってあるんだなぁ)

月曜日もなんとなく思案顔をして、じゃあねって言って帰ってきた。

木曜日

月曜日は、木曜日の元を訪れた。

・・・非常に分かりにくいが、月曜日である彼は木曜日に(以下省略)

「月曜日ってさ、木曜日からみてどんな感じ?」

「どうって別に…」

木曜日は、テンション低めにそう応じた。

「月曜日ってさ、なんか好かれてないっていうか〜。なんか、割りに合わないなって」

「へー、てか、なんで俺にそんなこと聞くの?どうでもいいよね」

「え…いや、その、実はみんなに聞いてて」

「まじで?暇なの?ま、どうでもいいっていうか興味ないっていうか、月曜日だって木曜日に興味ないでしょ」

「そんなことないよ」

「木曜日はね、あと1日、だよ。それだけ」

「どういうこと?」

「木曜日なんて、あってもなくてもどっちだっていいんだよね、ただの、金曜日までのあと1日だから。単なる通過点っていうの?そういう認識だよね」

「そ、そんなことないよ…」

「いいんだよ別に、気を使わなくたって。そのくらいの自覚はあるからさ。でもほっといてくれる?」

なんとなく空気が重くなったので、月曜日はいそいそと引き返してきた。

木曜日はなんていうか、非常にやる気がなかった。

金曜日

月曜日は金曜日のもとを訪れた。

・・・非常に分かりにくいが(以下省略)

「やあ」

月曜日は気さくを装って声をかける。

金曜日は平日の中ではひときわ目立つ、特別感のある曜日である。

(なんていうか、リア充感っていうやつ…?)

月曜日からするとちょっと、気後れしているのをなんとかごまかしている。

「やあ!月曜日じゃないか!ようこそ!」

(でた!リア充感!)

内心引いているのを、悟られないようになるべく爽やかな感じで切り出してみる。

「実はちょっと、聞きたいことがあってさ」

「へえ!なんだい?珍しい」

「あのさ、月曜日ってさ、ちょっと…みんなのイメージ悪すぎかなって」

「ああー、分かる。確かにね。月曜日ってちょっと、マイナスイメージ強ぎみだよね〜」

…簡単に分かられてしまった…どうしよう、やっぱ、金曜日の、平日らしからぬこの派手さ、明るさ、同じ平日とは思えない。

「僕としてはさ。月曜日はもっと、週の初めとして明るくいきたいっていうか。だからちょっと金曜日にアドバイスもらえないかなって」

「えー?!月曜日って、暗いの?なんで?」

「なんでって…」

「だってさ、月曜日にはさ、あれがあるじゃん。ほら、ハッピーマンデー!すごいあるじゃん、最近は休日独り占めだしー」

「いや、ま、それはそうなんだけど」

「僕のとこもねー、一応なんかできたんだけど。それについては僕もちょっと悩んでんだよね。知ってる?プレミアムフライデー!って」

「あ、一応」

「もうさ、圧倒的出オチ感。わかる?全然プレミアムじゃないし。なに言っちゃってんのって、思われてるのありありだし。恥ずかしいんだよねー!」

始終明るい調子ながら、なぜだか金曜日は金曜日なりに悩みもあるらしい。

でもやっぱりそのテンションがちょっときつかったので、月曜日は愛想よく手を振って別れた。

土曜日・日曜日

週末、月曜日は土曜日と日曜日のもとにも行こうかと思っていたけれども、やめることにした。

土曜日と日曜日はやはり、別格である。平日の、月曜日の悩みを鷹揚に聞いてはくれそうではあるが、何かの参考にはなりそうもない。

月曜日はその週末、ゆっくり1人で考えていた。

 

月曜日はずっと、自分ばかりがひどい扱いを受けていると思っていたが、どうやらそういうことではないらしい。

彼らは基本的に個人活動で、ほかの曜日と共に過ごすことがないので気づいていなかったが、月曜日以外の各曜日も、各々それなりの悩みを抱えて過ごしているらしい。

自分ばかりがひどく疎まれている気がして思い余って、ついみんなのところに押しかけてしまった自分を、月曜日は今頃ちょっと恥じていた。が、まぁそれも、悪くはなかったと思いなおす。

何事も経験ではないか。確かにちょっと被害妄想に取りつかれていた感もあるけれど、こうやって他の曜日のこともちょっとは深く知ることができたし、これはこれでいい経験だった、と思うことにしよう。

緩やかに過ぎている休日、月曜日は穏やかな幸福感の中で、そう振り返って過ごしていた。

さぁ、また月曜日がやってくる。

(僕はちょっと、内にこもりすぎていたかもしれないな)

世の中がみな月曜日を疎んで、恨んでいると思い込んで、ちゃんと外に目を向けようとしなかった。

ちゃんと見ていれば、月曜日最高!とか、今週も楽しい月曜日が始まるぜ!とか、そんな言葉を拾えたかもしれないのに。

僕は変わろう。月曜日は小さく決意した。

月曜日

月曜日は、意を決して、世間に目を向けることにした。

反月曜日派の意見があることは、想定の範囲内である。わかっている。それくらいは分かっているが、心を強く持て。

それだけではない、ということを確かめるんだ。

月曜日は、ドキドキしながら、ツイッターを覗いてみた。

月曜日の、朝である。

・・・まぁちょっと、勝算のない賭けであった。

 

“月曜日を撲滅すべし!”
“絶望の月曜日”
“月曜日を消し去ってくれ!”

 

あふれかえる、月曜日対する怨嗟の響き。

それはもう怒涛の、アンチ月曜日による、月曜日に対する非難絶望クレームその他諸々の雨嵐。

 

(な、な、なんでそこまで!!!)

 

当然である。だって月曜日の朝だから。

 

月曜日の小さな決意も、穏やかな休日も、あっさり吹き飛んだ。無力な塵のごとく。

絶句する月曜日。分かってた、分かってたはずなんだけど、まさかここまでとは。

ここまで、ここまで。嫌われていたとは!

 

もーーーー!いやだーーー!月曜日なんて!

 

絶叫する月曜日。楽しく緩やかな休日を過ごした後、突きつけられる現実。

 

僕が、僕が何をしたっていうんだ。ただ、平日の始まりだってだけじゃないか!日曜日の翌日だってだけじゃないか!

 

うん。そう、その通り。

もう分かったかな。それが、それこそが、君を悩ます、君に降りかかる言われなき怨嗟の理由である。

そう。実は、月曜日にはなんら非はない。ただただ、平日の始まり、週末の翌日、っていう、それだけの話。

かわいそうに、涙目で絶句している月曜日にかける言葉などほとんどないが・・・結局これが月曜日の宿命、そして存在意義だ。

悪い!諦めてくれ。みんなも本気で、君を滅ぼそうなどとは思っていない。

ただただ、愚痴りたいだけなのだ。愚痴りながらも何とか平日を始めようとする思いの表れなのだ。悪いが受け止めてくれ。

 

頑張れ月曜日。ハッピーマンデーを君に捧げよう。

月曜日のお休み、今年は11日もあるぞ!祝日はほとんど君のものだ!

月曜日に幸あれ!