最近読む量がめっきり減っているため、看板に偽りあり状態ではありますが、私は結構な活字中毒です。
しかも、偏食です。活字中毒っていうとね、読めれば何でもいい、という人もいると思うのですが、私はかなりえり好みが激しいのです。
美食家、というのとも違う。ミーハーというのもやはり違う。ただただ、自分の好きなタイプを探し回っては、好きな作家を見つけると追いまわして読み倒すタイプです。偏食です。
今回は私の好きな日本人作家とおすすめ作品をご紹介しようと思いますが、そんなの大量すぎて出し切れないので、いくらか制限をかけました。
私が愛してやまない異様に好きな作家と最近出会ったおすすめ作家の、おすすめ作品について。
何しろ私の活字中毒は歴史が長く、偏食度合いにも自信があります。ベストセラーではない、そんなにメジャーじゃないあたりもちらほら出てくると思いますので、未知との遭遇を楽しんでいただければ幸いです。
青春ミステリーの名手 樋口有介
あまりにも好きで、好きで好きで好きすぎるけれども万人受けはしないだろうなと思っている作家・樋口有介。
一時期、文庫がかなり絶版で悲しみましたが、最近になって再版が相次ぎ再評価されている感もあってうれしい限りです。
そんな樋口有介、たとえて言うなら…小説界のあだち充というか。
私が出会ったのは図書館。中学生くらいでしたかね。たしか「プラスチック・ラブ」でした。タイトルがもうね…こっぱずかしいって?でも当時私も中学生なんで、そのあたりのこっぱずかしさは特に気にならず。
っていうか、基本的に樋口有介さんの書く青春ミステリーはタイトル含めて全体的にこっぱずかしいんですよ。そのこっぱずかしさを楽しむみたいな。
作風としては、ハードボイルドと青春ミステリが中心ですが、青春ミステリについて特に、あだち充感がすごい。
主人公がみんな似てるんですよね…
でも、あだち充好きもそうじゃないですか?どれも顔同じだなーとか思いながら、それでもやっぱり好き、みたいな。
樋口有介好きは世の中でそんなに多数派ではないだろうと思いますが、きっとみんな思ってる。
あぁ、今回もやっぱり良くも悪くも樋口有介、だがそこがいい!
ハードボイルド路線に行っても、ま、基本的には同じです。予定調和、だがそこがいいのだ!!
ハードボイルドといっても、なんというか…大人の恋愛小説みたいなもんです、実のところ。
あんまり有名じゃないとは思うんですけど、結構多作です。たくさん書いてます。よろしければぜひ1冊。読者は選ぶと思いますが、はまる人はきっとはまります。
どれも似ているんで、好きかどうか調べるのでしたら1冊読めばたぶん十分です。
おすすめ作品
青春ミステリー:「海泡」「林檎の木の道」他多数
ハードボイルド:「彼女はたぶん魔法を使う」を含む柚木草平シリーズ
惜しまれる才能 打海文三
「応化クロニクル」シリーズ、という大作を執筆中に亡くなってしまった作家。
「裸者と裸者」という印象的なタイトルを、きちんと見つけて手に取った当時の自分をほめたいです。高校か大学か…いつだったかははっきりとは覚えていませんが、買って、読んで、どはまりしてその他の作品を買いに走った記憶あり。
でもやっぱり全部の作品は手に入りませんでした。こんな稀有な作家の本を、よくも簡単に絶版にしてくれたな!と私は当時も今も思っています。
「応化クロニクル」シリーズ、それほどメジャーではないかもしれないが、まぎれもない名作、そして大作です。
以前、電車の中で夢中になって読んでいたら、向かい側に座っていたちょっとこわめな(ヤンキーっぽい)にーちゃんが急に近づいてきて、すみません、といきなり声をかけられたことがあります。
非常に警戒したのですが、
「それ!裸者と裸者!ちょーーーー面白いっすよね!俺もすっげー好きなんでつい!」
とやや興奮気味に語られてびっくりしました。
確かに、知る人ぞ知る感のある作品なので、読んでる人見たらちょっとうれしいかも、と思いました。にーちゃんのこと見た目で判断してごめん、でもやっぱ怖いよ、という思い出です。
内海文三のもう一つの代表作・「ハルビン・カフェ」も、ものすごく面白いのでおすすめですが、これまた異様に難解なうえ、時系列、登場人物の入れ替わりも激しくすごく読みにくいので、おそらく挫折する人多数です。が、そこを乗り越えたらものすごく面白いです。ぜひ2周め行ってください。伏線などなどなどがわかってさらに面白いです。
おすすめ作品
「裸者と裸者」「愚者と愚者」「覇者と覇者」(「応化クロニクル」シリーズ)
「ハルビン・カフェ」
満を持して登場 乾石智子
時間があったら本屋さんを徘徊するのが趣味なのですが、ふとその題名と表紙に目が留まって手に取った、その幸運を引き寄せたことを自慢に思います。
素晴らしい、素晴らしいハイファンタジーの名手。日本でここまでの人がついに出たか、と感動しました。
ハイファンタジーっていうのは、完全に世界観が作られたファンタジーのことです。指輪物語などがいわゆるハイファンタジーの代表です。
まだデビューからそんなに経っていないので作品数はそこまで多くない、だからもうね、全部読めばいいと思います。そのくらい完成度の高い作品群です。
少なくとも〈オーリエラントの魔道師〉シリーズは刊行順に全部読むべし。そう言いたいです。
文体としてはとしてはやや硬めで精緻、世界観は圧倒的。
難解ではないですが、それなりに本を読みなれていないとややきついか、という気がしなくもないです。そもそもシリーズが刊行されている創元推理文庫は、文庫の中でも字がちっちゃめなので、本の厚さの割に結構書き込まれている印象です。
ちょっと読みにくい、ちょっと難しい、なんて理由で読まないのはもったいないので、ファンタジー好きにはぜひとも出会っててほしい、それが乾氏智子という作家です。
おすすめ作品
「夜の写本師 SCRIBE OF SORCERY」他〈オーリエラントの魔道師〉シリーズ
突然現れてとんでもない作品でデビュー 高田大介
「図書館の魔女」という、とんでもない大作(内容的にも、物理的にも)でデビューしてしまった作家。まだ、図書館の魔女と、その続編しかないはずなのに、分厚い文庫版にして6冊もあります。
図書館の魔女は異様なほどの大作です。
はっきり言って文章は難解というか…やたらめったら説明的。
作者は何者なんだと思ったら、この方、本職は言語学者のようなのです。なので言葉に対するこだわりが半端ないです。
第1作の「図書館の魔女」は何しろ分厚い文庫本4冊もある超大作なので、そのページ数を見ただけで挫折する人も多かろうと思いますし、そこを乗り越えて読み始めたとしても、すんごく長い情景描写などに飽きて読み切れない、という人もいると思う作品。
魔女、の話ですが魔法は一切なし。一応ファンタジーの部類には入る世界観だとはおもいますが、ファンタジーによくあるふわふわ感は皆無。あえていうなら…政争の物語、かな…?
読み慣れれば長い長い地の分も読めるので、ぜひとも手を出してみてほしいです。内容の面白さは間違いないです。
とにかく続編期待
おすすめ作品
「図書館の魔女」「図書館の魔女 烏の伝言」
和製ファンタジーと言ったらこの人 荻原規子
もはや児童文学界の大御所なので知名度高いですが、好きなものは好き。おすすめです。
10代前半頃?に図書館で勾玉シリーズに出会い、そこからの追っかけ状態です。
さほど多作ではないため、定期的に読み直すことで愛を確認しています。
日本神話などをモチーフにした作品が多く、読み始めた当時はその新鮮な世界観に夢中でした。いわゆる勾玉三部作です。有名です。
基本的に長編の作品が多いですが、物語が魅力的で文章も読みやすいため、読書好きの子供の間では、今も昔も静かに広がっているという感じがします。
最近は「RDG レッドデータガール」でまた活躍中。当然、追っかけています。
ちょっと少女漫画っぽい雰囲気はありますが、おすすめです。
おすすめ作品
「空色勾玉」「白鳥異伝」「薄紅天女」(勾玉三部作)
「樹上のゆりかご」
和製ファンタジーの新星 阿部智里
荻原規子、上橋菜穂子、小野不由美といった大御所が上位を独占状態だった和製ファンタジーの分野に、突如登場した新星。
何がいいって、タイトルがもう秀逸。ちょっとラノベっぽい軽さはあるものの、昨今の活字離れを考えるとこの辺りからファンタジーにのめり込むならアリではないかと。
はじめ、デビュー作「烏に単は似合わない」を読んで、単発作品としては少し弱いか、と思っていたらシリーズ、しかも長編シリーズだったのが嬉しい限りでした。
第1作目だけだとちょっと魅力が伝わらないというか、惜しい感じになるかもなので、ぜひ2作目以降も読んでほしい、そうしたらきっと評価が上がりますので。
八咫烏シリーズは第1部が完結。まだまだ続くらしいのが非常に楽しみです。
おすすめ作品
「烏に単は似合わない」「烏は主を選ばない」他、八咫烏シリーズ
私のおすすめ日本人作家とおすすめ作品 まとめ
とりあえず、勢いのまま思いついた順に並べましたが、どれが一番ということもなく、どれも以前から好き、今注目しているといった日本人作家です。
本文に出てきました作品は、このあと、下にずらーっとリンクを張りますので、よろしければ読んでみてください。それでは!
ご紹介したおすすめ作品 一覧
樋口有介
打海文三
乾石智子
高田大介
荻原規子
阿部智里