十二国記episode5の「丕緒の鳥」は4編からなる短編集です。最新刊であり本編完結版である「白銀の墟 玄の月」はなんと18年ぶりの本編の新刊でしたが、18年の間に2冊の短編集が刊行されており、そのうちの1冊が「丕緒の鳥」
「丕緒の鳥」は雑誌「yom yom」で発表されたものと書きおろしを含め新潮文庫より2013年に発売、「白銀の墟 玄の月」が発売されるまで、長く『十二国記最新刊』だった作品です。
時代も、国もバラバラの「丕緒の鳥」は、いつ読んでも楽しめるのか、読む順番におすすめはあるのか、を解説します。
「丕緒の鳥」の前に最低限読んでおいた方がいい作品
「丕緒の鳥」は短編集であり、本編とはさほど関係のない、王や麒麟ではなく、官僚や民にスポットをおいた作品集です。
そのため、本編を読み進むにあたり必ず読まなくてはならない作品集ではありませんが、作品の世界観や前提を知るためには先に読んでおいた方がいい作品、というものはあります。
各話ごとに解説します
丕緒の鳥
慶国の話。慶国にながく勤めている国官が主人公です。
慶の前王の末期に、政府の中で何が起きていたかが本編よりも詳しく書かれています。
世界観の確認と慶国についてある程度理解している方がこの作品を楽しめるので、「月の影 影の海」は最低限読んでから、「丕緒の鳥」を読んだ方がいいです。
「月の影 影の海」のあとであれば、どのタイミングで読んでも大丈夫です。
落照の獄
柳国の話です。
実は本編に柳国が絡んでくることはほぼなく、そういう意味ではどのタイミングで読んでも特に問題のない話です。
ただ、十二国のあらましや王と麒麟といったいったシステムの理解は最低限必要なので、「月の影 影の海」くらいは読んでおいた方がいいかな、と思います。
本編に柳国は絡まないのですが、柳国についての言及は他作品でも時々出てきます(具体的にどこで出てくるかについては、今度ちゃんと調べます)
そんな、断片的情報をつなぎ合わせてみるのも、十二国記シリーズの醍醐味です
青条の蘭
※ちょっとネタバレになりますのでご注意ください
どこの国のいつの時代か…というのが、当初は伏されている作品です。
ですので、どの作品を読んでおいた方がいい、というのはネタバレ要素があるのですが…
まず、世界観の確認のために「月の影 影の海」を読んでおいた方がいいのは他の短編と同じです。
さらにこの作品を楽しむためには…「東の海神 西の滄海」を読んでおくことをお勧めします。
ネタバレですね…すみません。
風信
慶国の話です。「丕緒の鳥」と近い時期の話になります。
慶の新王即位が絡んできますので、「月の影 影の海」を先に読んでおくことをお勧めします。
慶の前王と新王についてある程度の知識があれば楽しめるので、「月の影 影の海」さえ読んでいればどのタイミングでも大丈夫です。
「丕緒の鳥」をどのタイミングで読むか?読む順番おすすめ
国や時代がバラバラな4作、最低限読んだ方がいい作品を踏まえた上で、「丕緒の鳥」という一冊を手に取るおすすめのタイミングを考えます
早めに手に取りたい場合
本編は読み進んでいないけどとにかく早く読みたいんだ!という場合。
短編集で、番外編的な一冊なので、あんまりない例だとは思いますが…
「月の影 影の海」と「東の海神 西の滄海」をまず読んでしまえば、あとはどのタイミングでも大丈夫です。
ちなみに「東の海神 西の滄海 」も本編ではなくスピンオフ作品です。なので「東の海神 西の滄海」を読むタイミングは、「月の影 影の海」さえ読んでいればいつでも大丈夫です。
episode順に読む
十二国記シリーズにはepisode番号が振られていて、シリーズを読み進むのであれば、基本的にはこの順番がおすすめです(「魔性の子」だけは別です)
「丕緒の鳥」はepisode8なので、素直にepisode7「風の万里 黎明の空」の次に読むのがおすすめです。
episode順に読む場合、特に意識せずとも「月の影 影の海」と「東の海神 西の滄海」のあとになるので問題ないです。
刊行順に読む
十二国記シリーズは、刊行順にepisode番号が振られているわけではありません。
私はepisode番号順によむのがおすすめではありますが、刊行順に読みたい、という方もいると思います。
「丕緒の鳥」は十二国記シリーズの中では発表は後の方で、現在最新刊の「白銀の墟 玄の月」のひとつ前(それでも5年ほど前…)です。
刊行順に読むのであれば、「丕緒の鳥」 と同じく短編集である「華胥の幽夢」を飛ばしてepisode順に読み進め、「黄昏の岸 曉の天」の次に 「華胥の幽夢」、その次に「丕緒の鳥」 です。
ただ・・・繰り返しにはなりますが、「魔性の子」スタートはお勧めしません。
「丕緒の鳥」いつ読むのがおすすめ? まとめ
十二国記シリーズはハイファンタジー小説のため、世界観、世界の仕組みの理解はどうしても必要になります。
十二国記シリーズのスタートはやはり「月の影 影の海」です。本編とは関係の薄い短編集やスピンオフを読む場合でも、「月の影 影の海」はどうしても外せない作品となります。
「丕緒の鳥」に収録されている4編のうち、2つは本編とつながりの深い慶国、1つは本編とほとんど絡みのない柳国のため、 「月の影 影の海」 さえ読んでおけばほぼ問題ないです。
「青条の蘭」のみ「月の影 影の海」だけでは足りず、「東の海神 西の滄海」を読了後を強く勧めます。「青条の蘭」は終盤、 やや都合のいい展開なのですが、スピード感があり、読後感がいいので私は好きな作品です。
それでは。